今住んでいる賃貸住宅は、築何年の建物ですか?
建物は古くても、劣化などで設備が新しくなっていたり、リノベーションされていたりと、外観からでは想像もできないような物件はたくさんあります。
でもやっぱり、そんな建物でも年数が経つごとに古くなり「老朽化」してくるわけです。
その時にどうするかは、大家さん次第なんですが、建て替えとなった場合は入居者はどうなるんでしょうか?
賃貸物件の立退き事由は、いろいろとありますが、今回は建て替えとなった場合の話。
1.大家さんからの申し入れ
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建て替えをしようとした場合、まずは今住んでいる入居者に退去してもらわなければいけません。
そこで、大家さんや管理会社から賃貸借契約の解約の申し入れがあります。
でも、その申し入れが突然1ヵ月後なんてことになったら大変ですよね。
1-1.解約の申し入れは何か月前?
借地借家法によると
第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。
引用:借地借家法http://www.houko.com
つまり、大家さんの解約したい日から、最低でも6ヵ月前までにしなければいけないとされています。
もし、6ヵ月も満たない解約日を通知されたとしても、「通知から6ヵ月後」が解約の日、契約終了となります。
その日までに退去すればいいわけです。
そして、大家さん側には、解約を申し出るのに「正当な事由」が必要になります。
その正当事由なしでは、解約を拒否することができます。
1-2.解約のための「正当事由」とは?【建替え編】
●老朽化
建物に倒壊の恐れがあるほど”老朽化”しているような場合は、正当事由と言えます。
同じ築年数でも、建物の手入れ状況によっても違ってはきますが、築20~30年程度では、倒壊の危険性が認められる可能性は低く、それだけでは正当事由とならない場合が多いです。
●売却
相続や借金などの理由で、更地にし売却したい場合は、その状況によって変わってきます。
例えば、大家さんの財産がこの賃貸物件しかなく、建物付きでは売ることが極めて難しいような場合は、正当事由と認められる可能性が高くなります。
実はその「正当事由」には、明確な基準がないんです。
正当事由に該当するかどうかは、あくまでも大家さん側と借主側の事情を比較し考慮されます。
イメージとしては、それぞれの言い分を天秤にかけ、大家さんの主張が正当事由となるか判断されることになります。
例えば、老朽化を理由に解約の申し出があった場合、借主側の経済的状況によって、正当かそうではないかに分かれる場合も少なくないようです。
大家さん側の正当事由が認められず、それでもどうしても解約してほしいような場合は、「立ち退き料」の支払いを条件に正当事由と認められる場合があります。
要するに、「弱い正当事由」を補うために「立ち退き料」を提示して「正当事由」となるということ。
なので、ただ、立ち退き料を払うから出ていって!は裁判では認められません。
ただ大家さん、借主双方が合意した場合は別で、自分に有利な金額を提示された場合などはそのまま解約へ進めていくのは自由です。
2.立ち退き料は支払われるのか?
第28条の中に
建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出
引用:借地借家法http://www.houko.com
とあります。
この「財産上の給付」というのが、言われている「立ち退き料」に当たります。
でも、金額についての決まりはないため、その立ち退き料については、話し合いによって決められ、それでも双方納得できる形で決まらなければ、調停や裁判となっていくわけです。
調停や裁判となれば、労力も費用もかかり、精神的にも辛い状況になることが想像できます…
できれば、話し合いで円満解決が一番です。
そのためにも、その”立ち退き料”には、どんな費用が考慮させるか、知っておくことです。
3.立ち退き料に含まれる費用は?
決まった金額はないので、あくまでも一般的に多いとされる費用です。
●敷金全額
取り壊すわけなので、クリーニングも原状回復も必要なくなるわけです。返金されるべき費用ですよね。でも、家賃などの支払いを滞納していた場合は、その分差し引かれます。
●新居の契約にかかる費用
新に引越し先を探し、敷金や礼金などの契約金を払う必要がありますよね。
●引越し費用
荷物が少なくても多くても、引越し業者に依頼すれば、費用がかかりますよね。
実際に業者に見積もりを依頼し、その分全額を負担してもらえるケースが多いです。
この立ち退き料は大家さんの”誠意”の部分が、大きく影響するものです。
できるだけ、管理業者や契約した不動産屋さんと一緒に話し合いを進めた方が、大家さん自身も納得できることは多いものです。
4.まとめ
今住んでいる建物が、建て替えとなり退去、解約を申し出られた場合についてまとめてみました。
一番は、話し合いにより、双方が納得できる形で契約を終了させることですね。
借主は借地借家法で守られていますので、あまりにも一方的だったり、不利な場合はしっかり交渉してみてください。
それに対して、大家さんの立場は弱いものです。
守られている立場を悪用することなく、お互い新しいスタートが良いものとなるように、解決してもらえたらと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^