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(この記事は2018年11月に更新しています。)
賃貸の部屋の床を
「傷をつけてしまった・・・」
「へこませてしまった・・・」
こんな場合、不安になるのが退去時の費用ですよね。
なるべく多く敷金が返金される方が、もちろんいいですし、敷金を上回る費用がかかり請求されるのは避けたいですよね。
この記事では、そんなフローリングの借主負担について、詳しくみていきます。
まず最初に、原状回復ガイドラインから触れていきます。
1.原状回復ガイドラインとは?
国土交通省が定めた「原状回復ガイドライン」って知っていますか?
法的な効力はありませんが、契約や何かトラブルが起きた際に参考にする”道しるべ”的存在のものです。
不動産会社は、このガイドラインを参考にしているところも多く、借りた側のあなたも知っていて決して損はない内容です。
原状回復ガイドラインはこちらから確認できます。
そのガイドラインによると、フローリングは、長期間の使用に耐えられるものとされ、「何年入居していたから、その分フローリングの価値が減り、減った分に対しての修繕費用を負担してもらいます」というような考え方が合わないとされています。
経過年数を考慮せず、部分補修費用について毀損等を発生させた賃借人の負担と
するのが妥当であると考えられる。(なお、フローリング全体にわたっての毀損によりフローリング
全体を張り替えた場合は、経過年数を考慮するのが適当である。)
2.自己負担で直す必要なのは?
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基本的に、一般的といわれるような通常の住み方をしていて、その際に生じた損傷等は、自己負担で直す必要はありません。
反対に、次のような場合は、あなたの負担で修繕しなければいけないとされています。
例えば、引越しの際にできてしまった傷や、キャスター付き家具などによるへこみなどは、通常に使用してできたものとは認められません。
他にも、食べ物や飲み物をごぼしてしまい、放置したり手入れ不足などによってできた、シミやカビ、ペットによるものなどの損傷も、自然にできたものとはされていません。
■引越しの際にできた傷
■キャスター付きのイスなどでついたへこみや傷
■タバコによりできた損傷
■手入れ不足によってできたしまった食べ物や飲み物のこぼし跡
■ペットを飼育していてできた損傷
など、通常に生活するうえでできてしまう損傷以外は、借主の故意・過失・注意不足などが対象になります。
3.負担する必要はないのは?
多くの不動産会社は、国土交通省の「原状回復ガイドライン」による考えを基準にします。
賃借人に原状回復義務が発生し、賃借人が負担する費用の検討が必要になるが、この場合に修繕等の費用の全額を賃借人が当然に負担することにはならないと考えられる。
フローリングに対してだけではなく、その他のものにも共通する考え方です。
その理由もしっかり明記されています。
経年変化・通常損耗は必ず前提になっており、経年変化・通常 損耗の分は、賃借人は賃料として支払ってきているところで、賃借人が明け渡し時に負担すべき費 用にならないはずである
要するに、「通常に普通の生活を送る上での変化や損耗については、ちゃんと家賃を支払っているでしょ?」ということ。
それを退去時に全部請求されたのでは、納得いきませんよね。
■家具を設置したことでできたへこみや、設置跡
■窓際のフローリングの変色
など、誰が生活していても自然にできてしまう損傷は、大家さんの負担となります。
4.フローリングの耐用年数とは?
不動産には、「耐用年数」というものがあります。
これは、年数が経過すればするほど”下がる価値”を、金額で換算し、0になるまで(0に等しくなるまで)の期間のことです。
フローリングの耐用年数は、6年で0円に等しくなるクロスや障子などとは違い、建物の構造によって期間が定められています。
■木造:22年
■軽量鉄骨造:19年
■鉄骨造(S造):34年
■鉄筋コンクリート(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):47年

フローリングの場合は、基本的に経過年数は考慮しないと定められているため、上記のような「借主の負担」とされる損傷以外は、費用を負担する必要はありません。
ただ、全体にわたり損傷し、張替えが必要となった場合は、耐用年数で借主と大家さんの負担を分けましょうとと定められています。
ちょっと、頭がこんがらがってきそうなので、簡単にまとめます。
借主の負担になるのは、故意・過失・不注意などによってできた損傷。
しかも、損傷した箇所のみ。
これが一般的なフローリングの退去費用になります。
ただし、全体的に損傷が激しく、全面を直す必要がある場合は、フローリングの耐用年数(=建物の耐用年数)によって、借主と貸主で負担するとされています。
つまり、木造建てのアパートのフローリングは22年で1円の価値となる表を想定し、負担割合を計算するということです。
4.まとめ
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フローリングに限らず、退去時はトラブルが多くなります。
まずは、借りているあなたが、知識を持つことが何より大切です。
「これが不当な請求ではないのか?」という疑問を持つことができること、「この場合は、ガイドラインではこう定められている」といった内容を知ることで、話合いがスムーズに進んだり、請求されずに済むこともあるはずです。
何の知識もなければ、支払う必要のない費用まで支払うことになってしまいます。

ただ、民間の賃貸物件の契約は、不当で常識を超える内容ではない限り「契約自由」とされています。
なので、契約書に記載があり、説明を受けて契約を結んだ場合、支払わなくてはいけない場合があるかもしれません。
話合いでも解決できず、納得できない場合は専門機関に相談することをオススメします。
