退去トラブル【クロス編】原状回復費用はどこまで借主が負担する?

退去の際の”原状回復”をめぐるトラブルは、本当に多いものです。

恐らく、双方の仲介に入る不動産屋の「辛い業務TOP3」にランクインするんじゃないでしょうか^^;

ホントに夢にまで出てくる時もありました…

今回は、そんな原状回復トラブルについて。その中の”クロス編”です。

 

1.よくあるトラブル

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「一部にしか傷がついていないのに、全面の張替え費用を請求された」

「張替え費用が高すぎる」

「故意・過失によるものだから全額借主の負担と言われた」

などと言ったトラブルが多くみられます。

まずは、どこまで借主が修繕費用を支払わなくてはいけないのか…?

それには、国交省のガイドラインを参考にしましょう!

 

2.国土交通省のガイドラインとは?

実は、民間の賃貸借契約は、自由契約が原則にあり、民法や借地借家法などに触れない限り、自由で有効なものなんです。

だからと言って、専門知識を持つ不動産屋や大家さんが有利なように、好き勝手に契約内容を決められてしまっては、借りる側からすれば、たまったもんじゃありません!

そこに手を差し伸べてくれたのが「国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

実際のガイドラインの位置づけはこんな感じです。

原状回復の費用負担のあり方等について、トラブルの未然防止の観点からあくまで現時点において妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとしてとりまとめたものである。

本ガイドラインについては、賃貸住宅標準契約書(平成5年1月29日住宅宅地審議会答
申)と同様、その使用を強制するものではなく、原状回復の内容、方法等については、終的には契約
内容、物件の使用の状況等によって、個別に判断、決定されるべきものであると考えられる。

退去時の原状回復をめぐって起こるトラブルを未然に防ぐために、賃貸借の契約内容を考慮したうえで、この原状回復の費用をどういうように負担していくのか。
妥当と考えられる一般的な基準がまとめられています。

業者も清算基準としているところが多いので、気になったところがあった場合など、参考に見てみてください。

では、原状回復”クロス編”の本題に入っていきますね^^

 

3.契約年数、使用状況によって、負担額が変わる?

退去の際に、借主には原状回復義務が生じますが、その費用を全額負担しなければいけないのか?という問題があります。

退去時のその状態になるに至った、それぞれのワケを考慮するべきと、ガイドラインでは明記されています。

3-1.経年変化と通常損耗

持ち家だろうが、賃貸だろうが、長く住めば住むほど、いろいろと傷んできたりするわけです。

そういった毀損を「経年変化」や「通常損耗」とし、借主が負担すべきとする修繕費用に差をつけています。

入居して1年で毀損させてしまったのと、入居してから10年経って毀損させてしまったのでは、同じ費用を負担しなければいけないのは、不平等ということから導入されました。

その修繕費の負担は、長く住めば住むほど軽減させるべきとされています。

「これまで、支払ってきた家賃でカバーされているはずのもの」として扱われます。

この耐用年数は箇所により6年と8年に分かれています。

耐用年数とは、その資産が何年間使用に耐えることができるかということです。

クロスの場合は”6年”のところで見てきます。(クロスは耐用年数が6年です)

この負担割合表を基に計算すると、同じクロスの修繕費用100,000円として、

1年の入居では、その負担額は約82~84%といったところなので82,000~84,000円にもなります。

それに比べ10年の入居では、そのクロスの残存価値は1円となります。

負担はほとんど生じない計算になります。

ただそれは、通常使用時の通常損耗によるものであることです。

普通に通常に(それも人それぞれ、曖昧なところはありますが…)使用していて、どうしても避けられないものがあります。

例えば、こんなことが該当します。あくまでも”クロス編”です。
●日焼けしたクロス
●冷蔵庫などを置いていた後ろのクロスの変色
●通常に使用した画びょうやピンでできた穴
(過度に画びょうの穴だらけはトラブルになりかねないので、気を付けましょう!)
などがあります。

それとは反対に、経年変化、通常損耗とみられない場合があります。

それはこんな時です。

3-2.経年変化・通常損耗が考慮されない場合は?

それはどんな場合かというと

●故意や過失による汚損・破損
●手入れを怠ってできた汚れやカビ、シミ、腐食など
●ペット飼育によってできた傷や臭い付着
●タバコによるヤニや臭い付着、変色

などがあります。もちろんこの他にもあるので、確認は必要です。

この考慮されない中でも、よくトラブルのもととなるのが、”タバコ”によるものです。

 

4.タバコのヤニによるクロス修繕費

よく契約書の特約事項に「タバコのヤニによる汚れや変色については、借主の負担にて原状回復するものとする」とあります。

あなたの契約書に記載はないですか?

私も契約書の作成の際には、必ず特約に書き加えていたのを覚えています。

国交省のガイドラインによれば、

タバコ等のヤニ・臭い (考え方)喫煙等によりクロス等が ヤニで変色したり臭いが 付着している場合は、通 常の使用による汚損を超 えるものと判断される場 合が多いと考えられる。 なお、賃貸物件での喫煙 等が禁じられている場合 は、用法違反にあたるも のと考えられる。

となります。

ヤニによってクロスに回復義務が生じたとしても、クロスの耐用年数6年の適用となり、6年以上の入居で負担割合は1円となるとも言われます。

それとは反対に、クロスを通り越し下地や天井にも、取れない臭いやヤニ汚れなどがある場合には、修繕費用を負担しなければいけないこともあります。

実際に、旦那が喫煙者なので、このたばこのヤニによる負担は、敷金精算の際にはつきものでした。

多額に、必要以上に請求されたことはありませんが、何かしらの負担が生じることは少なくはないので、極力部屋内での喫煙は避けた方がトラブルの回避にもなりますね。

その他にもよくあるトラブル、修繕箇所は一部なのに全面張替えが必要と言われたケースです。

 

5.クロスの全面張替え分を請求された場合

原状回復は、毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工
事が可能な低限度を施工単位とすることを基本とする。

ガイドラインにもありますが、直す義務のあるのは一部なのに、柄が合わない、同じクロスがないなどの理由によって、毀損部分以上の修繕を必要とされ、その全額を請求された場合、あなたが支払わなければいけないのは、あくまでも、その毀損部分の費用だけです。

・柄が合わないから合わせる
・同じクロスがないから、今あるクロスで柄を合わせる

などの修繕は、物件(部屋)そのものの価値を上げる修繕になり、その費用を借主に負担させ、グレードアップによって大家さんが利益を得ることは妥当ではないとされています。

その一方で、技術的に可能で部分的な張替えで済む場合があります。

そういった修繕方法によって、物件(部屋)そのものの価値の復旧がされない場合は、借主の原状回復義務を果たしていないとされることもあります。

簡単には、似たようなクロスで一部を張替えキレイな状態にはなったけど、なんだかカッコ悪い部屋になってしまった…なんてことですね。

クロス張替えの場合、毀損箇所を含む一面分の張替費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当と考えられる(このように賃借人の負担範囲を大きくしても、経過年数を考慮すれば、金銭的な負担は不当なものとはならないと考えられる)

どちらのケースでも、当事者間で不公平とならないように、進めていかなくてはいけません。

 

6.まとめ

今回は原状回復トラブルのクロス編をまとめてみました。

請求額や請求内容に納得できないときは、交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を是非参考にみてみてください。

通常損耗や経年変化による毀損部分は、負担割合によって全額負担とならないこともあるので、注意して清算書を確認してくださいね^^

退去の際に「原状回復費用」をめぐって起こりやすいトラブル。

借りる側も、ある程度の知識を持つこともトラブル回避に繋がります!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^

引用:国土交通省「現況回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)

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